暗い話題が続いたので
やや明るめの話題で。
タイトルがミステリなので明るくもないか。
『鉄鎖殺人事件』は古いミステリである。
昭和8年に発表された作品なので、リアルタイムで読んだ人は
今はほとんどいないだろう。
浜尾四郎には『殺人鬼』というミステリもあるが
この『鉄鎖殺人事件』も有名なミステリだった。
戦後は昭和30年代に出版されたようだが、長い間入手が難しかった。
全集には収録されていたが、全集は高価だった。
池袋のジュンク堂でみかけて買おうかどうか迷ったが
買わなかった。
今手元にあるのは河出文庫のものである。
浜尾四郎のミステリ長篇は『殺人鬼』『博士邸の怪事件』があるが
この作品も長篇である。
『平家殺人事件』という作品もあるが、作者が亡くなったので
未完である。
さてこの『鉄鎖殺人事件』は『殺人鬼』ほどの長さはないが軽みがあって、文章も(戦前のミステリにして)読みやすく、
『殺人鬼』とならぶ傑作である。
出来は『殺人鬼』『鉄鎖殺人事件』『博士邸の怪事件』の順番である。
戦前に唯一本格推理小説の長篇を書いた作家の作品だけあって
読み応えはあるとおもう。
絶版や品切れにならないでほしい。