光と風と猫。

静かに暮すことを目指します、ブログ名は中島敦の小説から。X(旧Twitter)もやっています。

48連勤の塾講師適応障害発症で労災認定。

 教育産業も斜陽であるが、ひどい事件である。

報道によると、

神奈川県内で事業展開する学習塾に勤務していた40代の講師が、

最長連続48日間勤務の過労で、

適応障害を発症したとして、労働基準監督署は労災認定した。

男性と代理人弁護士は記者会見をして、

塾講師の置かれた労働環境が厳しすぎるので改善の必要性を訴えた。


大手塾でも人手不足で代わりが居ない状態が常態化してるようである。

この先生は2000年にこの学習塾に入社し、2009年には管理職となったそうだ。


2000年というと塾業界に大きな事件があった年である。

日能研関西の講師過労死事件である。

過労死したのは30代の算数・数学の先生であった。

まじめなかたで、学習塾は合格者数を競うのだが

ノルマがあったようだ。

この先生は50日連続勤務して、自宅でくも膜化出血で倒れて亡くなった。


大学受験は入学形態が多様化して、推薦やAOで入学できるが、

中学受験や高校受験はペーパーテストがまだ主流なので

教育産業としてはまだのびしろはある。

学校法人の大手大学受験予備校が

中学受験塾を傘下の収めているのは

そのためであろう。


 この算数・数学の先生は若手ながら優秀で、

はやくリーダーとなり、

生徒にも慕われていたようだ。

 この先生の母親が申請して、労災は異例の速さで認められ、

組合も結成され会社も告訴された。


 今回労災が認定された塾は神奈川県内では有名で、

この40代講師は授業の他に、

ほかの講師の指導やカリキュラムの編成もやり、

生徒への対応全般の責任者として勤務していたという。

管理職になっても授業時間数は増えていたそうだ。

休日がなく48日間連続して勤務し、

ついに適応障害と診断された。


 教育業界は長時間労働が常態化しているが、

教育業界のピークはG7(80年代後半から90年代)時代

で7年間で子供の数がもっと多かった頃である。


 大手塾に勤務していたが、90年代後期に独立して

都内や神奈川県内、埼玉県内で私塾をやってる先生方は

比較的成功している。

自分の塾なら休みたいときは

休めるからである。

 また、特定の科目や学部に注力する

生徒の特性に合わせる塾、

事業規模を大きくしない塾も生き残っているようだ。

少なくとも過労で倒れる方はいなさそうである。


 大手で頑張ってる先生方はたいへんなので

環境を改善するべきである。

 休みのない勤務は違法である。

経営者は菅野先生の労働法を読むべきである。


労働法 第11版補正版 (法律学講座双書)

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労働判例百選 第9版 (別冊ジュリスト No.230)

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