光と風と猫。

静かに暮すことを目指します、ブログ名は中島敦の小説から。X(旧Twitter)もやっています。

松本清張ドラマスペシャル『疑惑』をみる。

 松本清張作品は人気があるので

しばしば映像化される。

 実は芥川賞作家である。純文学の賞を受賞しているが

ミステリ作家である。

 芥川賞の選評では坂口安吾がこの作者の文体は

老練達者な文体で、殺人犯人をも追跡できると評した。

ミステリ小説を書いても上手く書けるだろう

ということらしい。安吾の炯眼であった。

 社会派ミステリの作家なので多くの読者を獲得した。

他の作家よりも動機や社会背景を重視している、

さらに人物の造形がこまかく、どのような人物なのか

活字を読んでいてもみえるようにわかる。

(ミステリ作品であるからトリックにも

こだわりがあったのだが)


 清張はミステリに限らず多面的な作家であるが、

ミステリ・サスペンス作品に限定しても

映像化作品は多い。

 『点と線』『砂の器』『ゼロの焦点

『霧の旗』『球形の荒野

わるいやつら』『疑惑』『鬼畜』

は映画化されている。

他にも清張作品は多く映像化されている。

 野村芳太郎監督の作品、

砂の器』『疑惑』『鬼畜』『わるいやつら』は名作である。

『疑惑』『わるいやつら』は人気があるらしく

よく映像化されている。

女性が重要な役という点も需要があるのではないか。


 『わるいやつら』も野村監督の作品が

ベストであると思う。

 2007年のドラマでは看護師役の米倉涼子さんが

主役になって演じていたが、

 やはり映画のほうがいいとおもう。

ドラマも見応えはあった。


 さて今回の『疑惑』だが、映画とドラマ含めて

過去5回映像化されている。

今回が6回目である。

 映画のがベストであるとおもうが、

桃井かおりさんと岩下志麻さんがすごくいい。

柄本明さんも上手かったが

この映画はこのお二人の女優さんの映画である。


 2月3日のドラマは映画を超えられるだろうか

と思ってみたが、

 最近の俳優さんは悪人顔や

いかにも悪いことやりそうなの方が

あまりいない。

 現代の犯罪はいかにもふつうのおとなしめの人が

凶悪な犯罪を犯すのでそれに対応しているのだろうが、

 2017年のドラマの『鬼畜』でも

そうだった。

 気弱な人が悪いことしてゆくという点では

ピカレスクなのだが。


 2月3日のドラマは

最初はまさか

『ドクターX』や『リーガルV』

みたいになるのかな?とおもって

みていたが、

意外とまじめにやっていた。

設定は現代風に変えられていた。

 黒木華さん演じる被告人・白河球磨子は、

精神的不安定な女性にありがちな

コミュニケーションの取り方をする。

急に泣いたり怒ったり

急にやさしくなったりつめたくなったり。

こはちょっとあからさまかなとおもった。

 佐原弁護士を演じる米倉涼子さんは

ちょっと落ち着きがないかな。

 2007年のドラマ『わるいやつら』に

医師・戸谷の愛人役で出ていた

余貴美子さんの検察官も上手かった。

記者役の板尾創路さんは、柄本明さんに比べれば

ちょっと迫力ないかな。


猫はかわいらしかった。



最後まで読んでいただいてありがとうございます。


疑惑

疑惑

疑惑

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