ハードボイルド小説
の古典
『血の収穫』の新訳が出た。
ハードボイルドというのは
ミステリのジャンルの一つであるが
『血の収穫』の作者のダシール・ハメットは
そのジャンルの創始者のひとりである。
ミステリのジャンルなので
探偵が出てくるのだが
推理小説というよりも
犯罪小説、暴力小説である。
探偵サム・スペードが登場する
『マルタの鷹』のほうが
有名であるが
コンチネンタル社の名無しのオプが登場する
『血の収穫』も負けず劣らずの
傑作である。
(身もふたも救いもないという点では
この作品がいちばんハードボイルドな気がする。)
やレイモンド・チャンドラーの『長いお別れ』
やロス・マクドナルドの『さむけ』とともに
ミステリやハードボイルドというジャンルを超えて
20世紀文学の傑作のひとつである。
通俗的なハードボイルド小説は、
たとえば
スーパーマンが出てくる
漫画のような
ミッキー・スピレインの作品や
大藪春彦の作品
(読者を獲得しているし、
ユニークな作品もあるのだが、
ハードボイルド小説ではなく、
タフガイ・ノヴェルと
評する人もいらっしゃる。)
にくらべれば
小説としての構成も上手くできている
『血の収穫』は
いい作品である。
対立する暴力組織が存在する
炭鉱町の腐敗と暴力に
コンチネンタル・オプが
挑んでゆく。
つぎつぎに
人が死んで行って
最後は・・・・
ハメットの長編でコンチネンタルオプが
登場する長編には
他に『デイン家の呪い』もあるが
やはり代表作は
『血の収穫』だろう。
新訳で読めるのはありがたい。
ジェームス・M・ケインの
長編も『郵便配達は二度ベルを鳴らす』
以外の作品も新訳が出ないものだろうか?
最後まで読んでいただいて
ありがとうございます。
新訳版

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春樹氏の訳よりもいいと思う。

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読み終えると
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