筒井康隆の作品はおもしろいが
日記も面白い。
最初読んだのは『腹立半分日記』という「作品」である。
各方面に問題が波及しそうな個人名などはカットして
作品として発表したのである。
会社員時代の話や読んだ本の感想や犬やウサギの話や変な手紙のはなしなど
腹が立ったことが面白い。
変な手紙がくるというのがいちばん面白くて
文学同好会を作ったが、だれもやる気がなくて意気消沈しているので
筒井先生に我々を励ます手紙を書いてほしいという厚かましい手紙である。
何もしないうちから意気消沈してるやつらに何も励ますというのか
と怒り、その図々しさや無神経さを批判している。
さらに、実は筒井氏を知る人からは「氏は健全な常識人であり、紳士である」という
評価があって、そのような評価をされるとひとのことを批判できなくなるので
このような日記も書けなくなり困るというのも笑う。
『腹立半分日記』の後にも
『日日不穏』や『幾たびもDIARY』など
日記の作品を発表していてこれがまた面白い。
真面目な内容から自称超能力者からの手紙や自宅に押しかけてくるファンなど
異様な人物が出てくるので抱腹絶倒である。
小林信彦の『1960年代日記』も面白いのだが、笑うという点では
筒井康隆の日記のほうが面白い。