SNOWLOGの日記

静かに地道に暮すことを目指します。X(旧Twitter)もやっています。

法の支配の対義語を知らない首相はいいのか?



 国会での質問で、たびたび答弁者の知識を試すことから

国会のクイズ王といわれるのが

立憲民主党会派の小西洋之参院議員ですね。

 報道によりますと、

参議院予算委員会で、

小西議員が、安倍晋三首相に問題を

出題していました。

 小西議員の質問は、安倍氏がたびたび口にする

「法の支配」に関するものですね。

安倍氏は直接は質問に答えられず、

 このことを小西氏は「憲政史上の大事件」だと訴えています。

 小西議員も大人げないのですが、小西議員に皮肉をいう

法制局長官も大人げないですね。


 小西議員は法の支配についての質問は

安倍総理、よく法の支配とおっしゃいますが、

法の支配の対義語は何ですか?

法の支配の反対の意味の言葉はなんですか?」

というものでした。

 
 安倍首相が答えに窮して

小西議員がヤジを飛ばす中、安倍氏は質問には直接答えず、

 「まさに法の支配による、この国際秩序を維持をし、

平和な海を守っていくことが、それぞれの海の繁栄につながっていく、

という考え方を示しているところでございます。」

と答弁しました。


 法の支配については知らないのでしょうね。

知らなくてもいいと思います。

(知っていた方がいいとは思いますが)

芦部信喜先生のことも知らなかったので

そうかなとは思いましたが。

 憲法学者高橋和之先生、佐藤(幸治)先生のお名前も

知らなかったようです。

 安倍首相の学生時代の著名な憲法学者

おそらくは宮沢俊儀先生ではないでしょうか。

知っていたらとしてですが。

 芦部先生の『憲法』が世に出たのは1993年なので

安倍首相は学生ではなかったので

知らないと思います。


 小西氏は、

「法の支配の対義語は、憲法を習う大学の1年生が、

一番最初の初日に習うことですよ。」と発言して、

解答を披露をしてみせました。

解答は、

憲法がよって立つ基本原理すら理解せずに

改憲を唱えている安倍総理に教えて差し上げ

ます、法の支配の対義語は人の支配です。」

というものです。

この先生も大人げないですね。


 大陸法では法治主義の対義語は人治主義ですが

英米法なら法の支配の対義語は

専断権力による支配か

人の支配ですね。


 小西議員は

「権力者の専断的行為によってルールを捻じ曲げて、

国民の権利や自由を侵害する、

そういう時代がかつて人類にあったから、

近代立憲主義に基づく憲法をつくるというものです。

その近代主義憲法が基づく理念が、

法の支配の原理なんですよ。」

と説明しています。

これがいいたかったのでしょうね。

安倍政権が専断的行為をしていると

言いたいのでしょう。


 小西議員はこの質問と答弁について

メディアでの報道の少ないことに不満があるようです。

そのうえで、小西氏は出題の意図を明かしました。

安倍総理が対義語を答えられなかったことに

国民の皆さんも驚いておられると思いますが、

私、予測していたんですが、

2013年3月に安倍総理は、

日本国憲法で一番重要な条文の13条を理解せず、

答えることもできなかったので、

法の支配の対義語を知らないのかな、

と思ったら、やっぱり知りませんでした。」

 安倍氏は、

「勝手にいろんな憶測をしたうえで批判をする、

あるいは、かなり人格的な批判をするということは、

これは、まだ若い議員であられますから、

将来を思えば、そういうことは

控えられた方がいいのではないか。」

と発言しましたが、

小西氏は

「愚直にやってきただけの人間だが、

安倍総理に人生を説かれるほど、私は堕ちていない。」

とやり返しました。

このような質問と答弁は大人気ないですね。


 小西氏は、質疑の様子をSNS

カルロス・ゴーン被告の保釈よりも、

安倍総理が、法の支配の対義語の

人の支配を知らなかった事実の方が

はるかに日本社会への重大事件なのだが、

メディアの報道は残念な限りだ。」

と語ったといいます。


 ゴーン被告の保釈や籠池夫妻の

初公判のほうがニュースバリューが

あるというのも平和というか、

端的に政治家にとっては残念であるとは思います。


 首相や元首は学者や知識人ではないので

著名な憲法学者のお名前や最も重要な憲法の条文を

知らなくともいいと思いますが。


最後まで読んでいただいてありがとうございます。


新しくなりました。

アメリカ法判例百選 (別冊ジュリスト 213)

アメリカ法判例百選 (別冊ジュリスト 213)

第7版が出ています。

憲法 第七版

憲法 第七版