SNOWLOGの日記

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日産ゴーン元会長の勾留理由開示。




 日産の元会長のゴーン氏は

なかなか釈放されないですね。

 本丸は特別背任であるのなら、

しかたがないという人もいますが、

ここまで長いのは異様な感じがします。

 勾留理由開示は憲法34条に基づく重要な

人権保障の手続きです。

  ゴーン氏の容貌や様子や

無実の訴えのみが取り上げられ

勾留理由開示は判然としない。

とうより形式的なものであった。

 裁判官はなんと説明したのか?

容疑を説明して、

勾留理由については

「事件の内容や性質、被告の供述などから、

被告が関係者に働きかけて

証拠隠滅を行う恐れがある」と説明していました。

 たしかにその可能性は0ではない。

さらに「国外にも生活拠点を置いていることから

逃亡の可能性も疑われる」とも述べたようです。

 これはそういう可能性もあるかな

と思います。

海外に逃亡されたらどうしようもない。

 裁判官にありがちな、形式的というか

教科書読んでるような説明ですね。

 ゴーン氏の弁護人は裁判官に対し、

逮捕容疑について、

「会社に損害を与えたと疑う根拠などを明らかにするように」

と求めたが、

裁判官は「現在、捜査中の事件なので、

明らかにできない」と答えたようです。

  これも形式的というか、いかにも

文章造って読んでるような説明です。

 

 いちばん大事なことは何か?

 不当な抑留と拘禁からの自由ということです。

憲法34条では(ちょっと長いのですが)

「何人も、理由を直ちに告げられ、

且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を

与へられなければ、抑留又は拘禁されない。

又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、

要求があれば、その理由は、直ちに本人及び

その弁護人の出席する公開の法廷で

示されなければならない。

かつ、直ちに弁護人に依頼する権利を

与えられなければ、

抑留または拘禁されない。

また、何人も、正当な理由がなければ拘禁されず、

要求があれば、その理由は、

直ちに本人及びその弁護人の出席する

公開の法廷で示されなければならない。」

  勾留理由開示は、
 
 「要求があれば、その理由は、直ちに本人および

その弁護人およびその弁護人の出席する

公開の法廷で示されなければならない。」

が直接の根拠となっているのです。

刑訴法の規定ははぶきますが、

(82条から86条)

  ゴーン氏の容疑については大々的報道されているので

みなさん知っていると思います。

「逃亡や証拠隠滅の恐れ」というのは、

勾留の要件として刑訴法に定められている事項です。


 憲法は34条でなぜ理由を開示しろと

なっているかというと

ゴーン氏に対してなぜ容疑があると判断したのか?、

どのような事情から証拠隠滅や逃亡の恐れがあるという

理由を説明しなければならないということです。

  ゴーン氏は「わたしは無実」と発信しているのだから

裁判官は「いえ、あなたはこうこうこういう理由で容疑がありますから

 勾留しますよ。」と理由を説明しなければならないのです。

 「逃亡や証拠隠滅の恐れがある」というのも、

ゴーン氏のような著名人には逃亡は可能でしょうか?

するかもしれませんが。

 どういう理由で逃亡や証拠隠滅の恐れがあるのか、

「あなたはこうこうこういう理由で逃亡や証拠隠滅の恐れがある

 ので勾留しますよ。」

と説明しなければならないのです。

 そのようなことには裁判官は説明しなかったようです。


「疑わしいでしょ、え、無実だって、

 でも疑わしいだろ?

 事件は捜査中だから理由は話せない(公開の法廷なのに・・・)、

 逃亡の恐れがあるし、証拠隠滅の可能性も否定できないだろ?

 だから勾留してるんだよ。わかった?」

とこういうことです。

 
 ゴーン氏を擁護する気はないのですが、

勾留理由開示の説明はきちんとしてほしいですね。

逃亡の恐れや証拠隠滅の可能性は

0ではないとは思いますが。

 形式的に説明していると思います。

勾留理由開示はめったに使われない制度

ということで話題となりましたが

このことが、この制度の形骸化を象徴していますね。


最後まで読んでいただき

ありがとうございます。



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