暗い話のなかのちょっと明るい話。
自殺する人が減っているというのである。
平成大不況のころは年間3万人が自殺していた。
あの時代に比べればいいほうなのだろう。
それでも2万人の自殺は衝撃である。
街一つがなくなるくらいの人数である。
災害級のことである。
自殺は男性のほうが多くて、50歳代の方が多い。
健康的な理由がいちばん多く、つぎに経済的な理由が続く。
50代というのはミッドライフ・クライシスのいちばん後方の
年代ではないだろうか?
それまでできてきたことが思い通りにできなくなる、
いろいろとお金もかかる。それで悩んでというところだろうか?
親の介護もあったりと、何かと二進も三進もいかなくなる年代である。
自殺する人は、うつ病など精神疾患を抱えている人も多そうである。
捕捉されている人だけをみれば、精神障がい者は女性のほうが多い、
400万人弱くらい障がいを持った方はいるが、その6割が女性である。
自殺するのは男性が多いが、障がい者全体でみれば女性のほうが
多いということになる。
これはもちろん、精神疾患を患っているから必ずしも不幸とか
自殺にむすびつくということではない。
障がいをもっていても、健常者と同様に生活されている人も
いらっしゃるということである。
病気の重い軽いや環境もあるだろう。
ただ、自殺した人には精神疾患を抱える人が多いということである。
自殺と精神障がいの男女比は研究している人がいるかもしれない。
自殺といって思い浮かべるのは
オーストリアの思想家、オットー・ワイニンガーである。
『性と性格』という本で女性を極端に差別して、20代で
自殺をした。
ワイニンガーが自殺を賛美していたのを
物の本で読んだことがあった。違う人かもしれない。
社会学的アプローチを自殺に行ったのは
社会学者のエミール・デュルケムである。
どういう境遇の人がどういう状況において自殺するかを
明らかにした。自殺対策に有効なのはこっちのほうだ。
悩んだら相談したほうがいい。
人の死は一部の人間を除けば損失である。
2万人はめのくらむ数である。